国が行っている魚種ごとの資源評価及び漁海況予報等については「わが国周辺水域の水産資源の現状を知るために」を参照してください。
■イカ類(スルメイカ、コウイカ、アカイカ)Squid
スルメイカ Todarodes pacificus

全国の最近年間の漁獲量は、22〜33万トンとイカ類では最も多い。寿命は1年。東シナ海で発生する冬季発生系群と北陸沿岸で発生する秋季発生系群がある。大半は乾燥させて加工するが、今では生食の利用が広がっている。主漁場は対馬沿岸、日本海中央部、津軽海峡、三陸沿岸など。
コウイカ Sepia esculenta
全国の漁獲量は7〜8千トン、太平洋側は関東から、日本海側は北陸以東から東シナ海にかけて漁獲される。寿命は1年。寿司種としての人気が高い。
■アジ類(マアジ、ムロアジ)Mackerel
マアジTrachurus japonicus

1990年代は約30万トンあったが、2001年以降は20万トン代に減少した。寿命は5年程度。まき網による漁獲が多い。九州南岸から東北太平洋に分布する太平洋系群と東シナ海から日本海に分布する対馬暖流系群がある。
■サケ・マス類(シロザケ、カラフトマス)Salmon
シロザケOncorhynchus keta
人工ふ化放流等の発達により、全国のサケ・マス類の漁獲量は、毎年20〜30万トンと安定している。このうち、シロサケ(秋ザケ)が95%程度を占め、その他カラフトマス、サクラマスなどが漁獲される。漁法は、北海道、東北ともに定置網によるものが大半であるが、一部はロシア海域、日本周辺でのはえ縄や刺網による漁獲もある。産卵のため4年で回帰(3年、5年回帰の群もある)し、寿命を終える。
カラフトマスOncorhynchus gorbucha
人工ふ化によるものの他、天然産卵によるものも多い。分布は、北海道から東北地方に及ぶが、漁獲は、北海道オホーツク沿岸の定置網による漁獲が主流。総漁獲量は、1.5万トン前後。産卵のため2年で回帰し寿命を終える。北海道では「セッパリマス」と呼ばれており、マスの缶詰等に利用にされるものが多い。
■ブリ類(ブリ、ヒラマサ、カンパチ)Yellowtail
ブリSeriola quinqueradiata

全国の漁獲量は2000年に入って5.1〜7.7万トンと1990年代より増加した。ブリはかつての定置漁業を支えた代表的魚種の一つであったが、2000年頃からまき網による漁獲が過半以上になった。日本海の“寒ブリ”は贈答品としても有名。寿命は7年以上。
■イワシ類(カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ)Sardin
カタクチイワシEngraulis japonicus
2000年前後から漁獲が急速に増えた魚種の一つ。常磐から房総沖で漁獲される寿命3年の太平洋系群と瀬戸内海、薩南海域で漁獲される寿命2年の瀬戸内海系群及び日本海で漁獲される寿命2、3年の対馬暖流系群の3群がある。太平洋系群は船曳網で、瀬戸内海系群はまき網、船曳網で、対馬暖流系群は北・中部では定置網やまき網で漁獲している。
マイワシSardinops melanosticus

1980年代には200〜300万トン(1984年の418万トンが最大)の漁獲があったが、2005年には2.8万トンにまで減少した。魚種交代(レジームシフト)の典型としても議論の対象。定置網でも5千トン程度の漁獲がある。資源は、太平洋系群と対馬暖流系群に分類され、大半はまき網で漁獲される。寿命は7年程度。
ウルメイワシEtrumeus teres

日向灘から豊後水道にかけてまき網、定置網で獲れる太平洋系群と東シナ海から日本海にかけてまき網、敷網、定置網で獲れる対馬暖流系群に分かれる。太平洋系群は1992年頃から急増し、対馬暖流系群は1981年から97年に急増したが、2005年、2006年は激減している。寿命は何れも2年。高鮮度のものは刺身で、干物はダシとして珍重される。
■サバ類(マサバ、ゴマサバ)Chub Mackerel
マサバScomber japonicus

三陸から常磐海域が主漁場の太平洋系群は、1978年には147万トン漁獲されたが、1990年、2000年前後には2万トン程度まで落ち込んだ。また、東シナ海から日本海で漁獲される対馬暖流系群は、1975年〜95年にかけて20〜30万トン獲れていたが現在は10万トン以下になっている。何れも大半はまき網の漁獲が中心で定置網でも漁獲している。
ゴマサバScomber australasicus

寿命は6年程度。太平洋全域で漁獲される太平洋系群と東シナ海、日本海で漁獲される東シナ海系群から成る。近年は何れも高い資源水準にあるが、定置網で漁獲されるものは太平洋系群で、東シナ海系群は大半はまき網による漁獲。しめさば、焼き魚、缶詰、サバ節などに利用される。
■その他(サワラ、シイラ、ホッケ、サンマ、スケトウダラ、トビウオ、マダイ)Others
サワラScomberomorus niphonius

2000年以降、漁獲が急増した。資源は、東シナ海から日本海に分布する東シナ海と瀬戸内海系群に分かれ、近年では青森沿岸の定置網で多量に漁獲され、海洋温暖化の影響(?)としてマスコミでも取り上げられている。瀬戸内海の春のサワラは特に有名で、1987年前後には約6千トンが漁獲されたが、近年は減少の一途となり、操業自主規制や資源回復計画の取り組みが行われている。寿命は約6年。
ホッケ Pleurogrammus azonus
最近10年間の漁獲は、15〜20万トン程度。このうち1〜2万トン程度が北海道の定置網で漁獲される。資源は根室海峡・道東群と道北群にわかれ、前者は根室海峡で大半が漁獲され、後者は、オホーツクから日本海の底びき網、刺し網等が主体である。
サンマCololabis saira

全国の漁獲量は凡そ20〜26万トンである。このうち、北海道から東北地方の定置網には2〜3千トン漁獲されるが、大半はさんま棒受け網である。主要漁場は、オホーツク海から南下して東北三陸沖から常磐沖となっている。寿命は2年。
スケトウダラTheragara chalcogramma
カタクチイワシ、カツオ、シロザケ、サンマ等と同じく20万トン以上の漁獲を占める主要魚種。200海里体制以前の1972年には304万トンにも達した。資源は、日本海北部系群、根室海峡群、オホーツク南部群、太平洋系群に分けられる。漁獲量の多いのは太平洋系群で全体の90%以上。漁法は、底びき網が主体。定置網では5千〜1万トン程度が北海道、青森で漁獲されている。寿命は10年以上。
マダイPagrus major

最近20年間では毎年1.5万トン程度の漁獲量。一定の海域に定着する魚種なため、栽培漁業の主要な対象種になっている。千葉県沖から三重県沖の太平洋中部系群と和歌山県沖から鹿児島県沖に至る太平洋南部系群、瀬戸内海東部系群、瀬戸内海中西部系群、日本海西部・東シナ海系群、日本海北中部系群に分類されている。日本海側の系群は定置網の重要な対象種の一つになっている。寿命は8年以上。